2005年11月25日

百年目(金原亭馬生10)

お店の大番頭は奉公人の定吉と二番番頭に小言を言って出かけていった。外へ出ると、幇間の一八が近寄ってくるが、知らないふりをして帰らせた後、路地の駄菓子屋へ入り、衣服を着替えて柳橋へ行く。屋形船が用意してあり芸者を上げて花見をしようというのだ。知人に会うのをおそれ、障子を閉めて飲んでいたが、暑いので仕方なく障子を開ける。酒が回ってきたのか、幇間に進められ扇子で顔を隠して陸に上がり、踊りながら芸者を追いかける。一方、お店の旦那の医者の玄庵と花見に来ていた。玄庵が番頭を見つけ旦那に尋ねるが、間違いだと思い避けて通ろうとするが、自然に番頭が近づいてきて旦那を捕まえてしまった。旦那の顔を見た番頭、思わず「どうも、ご無沙汰しまして、皆さんお元気でいらっしゃいますでしょうか」旦那は皆に大事な人だから、遊ばせたら連れて帰ってきてくれと言い残して帰ってしまう。番頭は生きた心地がしないので、すぐにお店に帰り、風邪気味だと言って、二階へあがってしまう。しかし、悪いことばかり考えて、一睡もせずに夜が明けて、早くに起き水を打ったりしている。そうしているうちに、旦那に呼ばれる。旦那はお茶を勧めて、昨日のことを尋ね、帳簿を調べたことを話す。毛ほどの隙もないので嬉しくなりったので、商売のためならいくらでも金を使えと諭す。番頭が丁稚時代の昔話をした後で、旦那の由来を話す。天竺にまことに綺麗な栴檀(せんだん)という木があり、そこに汚い難莚草という草が生えている。この草を摘み取ると白檀は枯れてしまう。難莚草が枯れるときの肥やしになる。つゆを栴檀がおろしてやる。両方で持ちつ持たれつである。栴檀の檀と難莚草の難の字を取って檀難が由来だとのこと。番頭の商売の仕方を見るともう少し店の難莚草につゆをおろしてやれと諭す。番頭は恐縮する。旦那は嬉しいといって、二人お茶を飲みながら、暖簾分けまで辛抱するようにと頼む。番頭が店の方へ戻ろうとしたとき旦那が「ちょっと番頭さん待っておくれ。きのう、合ったとき妙なこと言ったね。ご無沙汰いたしましてとか。あれは何だい。ばかにあってないような、毎日、一緒にいながら」「あの時は、もう百年目かと思いました」
マクラは花見あれこれ、番頭の地位について。ゆったりと上品な語り口、詳細な情景描写、しっかりとした演出でまことに温かい情を醸し出している。味がある。これぞ芸といった感じ。中でも、知的な師匠にはふさわしくないような芸者の台詞が爆笑を誘い、これまたいい。
posted by momiji at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 演芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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