浅草の馬道に、豆腐屋さんで嘉吉という人がございまして、至って律儀な方で、夫婦の間に子供が生まれた、しかも、男の子。喜んでいると三日目に産後のひだちが悪くって、お上さんがなくなってしまった。−−お上さんの妹のおせんが、子供の常吉の面倒を親身に見ていた。亭主も死んでしまい、おせんが常吉を育ててきたが、近所の誰かが、汚染が義理の母であり、母親のの生前から亭主と関係があったと、嘘を教えたので、常吉はぐれてしまう。常吉には性悪女ができたが、彼女には別の男がいた。ある日、大家がやってきて、亡くなった嘉吉には金を十五両ほど残しているので、気晴らしに身延山へお参りに行くことを勧める。このことを聞いた性悪女が常吉に悪知恵を入れる。常吉は急に優しくなりおせんにつくす。汚染が身延山のことを打ち明けると、歳をとったおせんの代わりに常吉が、嘉吉のお骨を身延山に納めに行くことになる。おせんは出発前に、常吉の生みの親から渡された赤い風車を笠につけて持って行くように頼む。江戸を出発して、常吉は一行から離れて性悪女と落ち合う。道中で風車のついた笠を捨てるが、宿に届けられる。性悪女と気晴らしの外出、真っ暗なところで性悪女と関係のある男に背中をつかれて、常吉は崖から川へ転落する。しかし、赤い風車のついた笠が持ち上げるように成っていたので常吉は助かる。そのとき思い出すのは、優しかった育ての母のこと。矢も立ってもいられずに江戸に帰ると、おせんは亡くなっていた。聞けば、何かを支えるような格好をしていたとのことで、死に顔は満足そうだった。「おっかさ〜ん」泣き伏してしまった常吉の背中にしょっている笠の赤い風車が風もないのに回りました。クルクル、クルクルクルクルクルクル・・
マクラはなし。ほとんどが地の話。物語の上手な朗読を聞いている感じ。枯れた感じの語り口だが、さすがに暖かくていい。筋立ても無駄なくまとまって、充実した口演でした。
posted by momiji at 21:21|
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